注意喚起と裁判例の記録

最終更新 2026-10-21/記録 20件(公表日・判決日つき)

先に答え給与ファクタリングは、金融庁が2020年3月に「業として行えば貸金業に当たる」との解釈を示し、最高裁も2023年2月に貸金業法・出資法の「貸付け」に当たると判断しています。事業者が売掛金を売るファクタリングでは、売掛先が払えないリスクを業者が負う取引を「債権の売買」とした裁判例がある一方、売主に保証や支払の約束をさせて業者がリスクを負わない取引を「貸付け」とした裁判例があります。後払い現金化も、金融庁が実態が貸付けなら貸金業に当たるおそれがあるとして注意を呼びかけています。当サイトが2026年10月21日に確認した範囲では、2024年以降にこの3つの類型を対象にした新しい注意喚起・判決・法改正は見つかっていません。

ファクタリングを名乗る取引のうち、公的機関が違法な貸付けにあたるおそれがあるとして注意を呼びかけているもの(給与ファクタリング・後払い現金化・偽装ファクタリング)について、注意喚起・摘発・裁判例を公表日つきで記録しています。 事業者が請求書(売掛金)を売る通常のファクタリングそのものを違法とするものではありません。

早見表: 事業者のファクタリングは「売買」か「貸付け」か

金融庁が紹介している裁判例7件のうち、債権の売買とされたものが2件、貸付けやお金の貸し借りなどとされたものが5件です。売買とされたものは、売掛先が払わないリスクが業者に移っていると認められました。貸付けなどとされたものでは、売主の保証や支払の約束、払わない可能性の低さなどから、業者がそのリスクをほとんど負っていないとみられました。

事業者向けファクタリングの裁判例と判断
判決の日判断内容
2022.07.07無効(貸付けに近い)札幌高裁、債権を担保にした貸付けに近いとして、ファクタリング契約を無効と判断
2022.06.15債権の売買東京高裁、売掛先が払えないリスクが業者に移っているとして「債権の売買」と判断
2022.03.04お金の貸し借り東京地裁、売主の表明保証が債務の保証に等しいとして「お金の貸し借り」と判断
2021.07.16貸付け名古屋地裁、売掛先が払わない可能性が極めて低かったとして「貸付け」と判断
2021.07.01貸付け東京高裁、売主が債権額以上の支払を約束していた取引を「貸付け」と判断
2020.09.18債権の売買東京地裁、不払いのリスクが業者に移っているとして貸金業法の適用を否定
2017.03.03お金の貸し借りに準じる大阪地裁、業者が不払いのリスクをほとんど負っていなかったとして、お金の貸し借りに準じると判断

出典: 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」の裁判例の紹介(当サイト確認 2026-10-21)

記録(新しい順)

  1. 給与ファクタリング2023年2月20日(月) 決定

    最高裁、給与ファクタリングは貸金業法・出資法の「貸付け」と判断

    労働者の給料を受け取る権利(賃金債権)を買い取る取引について、業者は勤務先に直接支払を求められず、利用者に買い戻させるなどして回収していたとして、形は債権の買取りでも、貸金業法と出資法の「貸付け」に当たると判断しました。勤務先が払わないリスクを業者が負う約束になっていても結論は変わらないとして、無登録営業と高金利で有罪とした判断を維持しました(上告棄却)。

    関係する人: 給与ファクタリングの利用者と業者

    令和4年(あ)第288号。原審は札幌高裁 令和4年2月15日判決。事業者の売掛金の買取りについての判断ではありません。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  2. 後払い現金化2022年12月20日(火) 資料公表

    警察庁資料: 後払い販売や給与ファクタリングを装ったヤミ金融の検挙例

    情報商材などを後払いで売る形をとり、宣伝協力の報酬の名目で約7,400人に貸し付けた事件(警視庁・広島、13人を検挙)と、給与ファクタリングや後払い商品の宣伝報酬を装って約6,800人に貸し付けた事件(埼玉、5人を検挙)が紹介されました。

    内閣官房の多重債務問題懇談会(第20回)で警察庁が示した資料。受け取った元利金は、前者が約8億円、後者が約2億8,000万円。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  3. 事業者向けの裁判例2022年7月7日(木) 判決

    札幌高裁、債権を担保にした貸付けに近いとして、ファクタリング契約を無効と判断

    譲り渡した債権を担保にしたお金の貸し借りに近い働きをしているとして、契約は公序良俗に反し無効と判断しました。

    金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」の裁判例の紹介で確認しました(判決文は未確認)。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  4. 事業者向けの裁判例2022年6月15日(水) 判決

    東京高裁、売掛先が払えないリスクが業者に移っているとして「債権の売買」と判断

    売掛先が支払えなくなるリスクが業者に移っていると認め、確定的な債権の売買であって、貸金業法の貸付けには当たらないと判断しました。

    金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」の裁判例の紹介で確認しました(判決文は未確認)。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  5. 事業者向けの裁判例2022年3月4日(金) 判決

    東京地裁、売主の表明保証が債務の保証に等しいとして「お金の貸し借り」と判断

    売主が「売掛先に不払いの兆候はない」と表明保証しており、これは債務の保証に等しいとして、取引は金銭消費貸借契約(お金の貸し借り)に当たると判断しました。

    金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」の裁判例の紹介で確認しました(判決文は未確認)。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  6. 給与ファクタリング2021年12月23日(木) 資料公表

    警察庁資料: 給与債権の買取りや後払い販売を装ったヤミ金融の逮捕例

    給与債権の買取りや後払い販売を装い、のべ約1,900人に法定利息の約23〜139倍で貸し付けた事件(千葉・沖縄)が紹介されました。2021年4月に6人が貸金業法違反(無登録営業)などで逮捕されています。

    内閣官房の多重債務問題懇談会(第18回)で警察庁が示した資料。受け取った元利金は約1億3,500万円。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  7. 事業者向けの裁判例2021年7月16日(金) 判決

    名古屋地裁、売掛先が払わない可能性が極めて低かったとして「貸付け」と判断

    売掛先が支払わない可能性が極めて低かった点などを考慮し、ファクタリングの名目の取引は貸金業法上の貸付けに当たると判断しました。

    金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」の裁判例の紹介で確認しました(判決文は未確認)。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  8. 事業者向けの裁判例2021年7月1日(木) 判決

    東京高裁、売主が債権額以上の支払を約束していた取引を「貸付け」と判断

    売掛先が払わない場合に売主が債権額以上を支払うことを約束する公正証書が作られていた点などを考慮し、ファクタリングの名目の取引は貸金業法上の貸付けに当たると判断しました。

    金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」の裁判例の紹介で確認しました(判決文は未確認)。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  9. 後払い現金化2021年6月16日(水) 公表

    消費者庁、「後払い現金化」の注意喚起資料を公表

    商品を後払いで買う形をとり、代金を払う前にキャッシュバックやレビュー報酬などの名目で現金を受け取らせ、給料日などに高い代金を払わせる手口について、消費者庁が注意喚起の資料を公表しました。金融庁の注意喚起ページは、形が商品の売買でも経済的な実態が貸付けで業として行うなら貸金業に当たるおそれがあり、登録がなければ違法なヤミ金融業者だとしています。

    関係する人: 給料日払いなどの「後払い」で現金を受け取る人

    金融庁の注意喚起ページには掲載日の記載がありません。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  10. 給与ファクタリング2021年2月9日(火) 判決

    東京地裁、給料ファクタリングの利用者9人に、支払った全額を返すよう業者に命令

    給料ファクタリングの利用者9人が、業者に支払ったお金の返還を求めた裁判です。債権の譲渡の形をとっていても実質は貸付けで、年利に直すと少なくとも250%を超えるため契約は無効とし、支払った全額(9人で計436万5,000円)を返すよう命じました。業者が先に渡したお金を差し引くことも認めませんでした。

    関係する人: 給与ファクタリングの利用者

    令和2年(ワ)第11883号。業者は口頭弁論に出頭しませんでした。差引きを認めなかったのは、不法な原因で渡したお金は返還を求められないとする民法708条の趣旨によります。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  11. 給与ファクタリング2020年12月23日(水) 資料公表

    警察庁資料: 大阪の給与ファクタリング業者らの検挙例

    「給与ファクタリング」をうたってネット広告で客を集め、約2,900人に法定利息の約31〜81倍で貸し付けた事件(大阪)が紹介されました。2020年10月までに9人が貸金業法違反(無登録営業)などで検挙されています。

    内閣官房の多重債務問題懇談会(第16回)で警察庁が示した資料。受け取った元利金は約2億1,000万円。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  12. 政府の見解2020年10月2日(金) 答弁

    政府答弁書: 貸付けと同じ働きのファクタリングは登録が必要、新しい規定は「現時点では考えていない」

    政府は答弁書で、金融庁が2020年3月6日に給与ファクタリングを業として行うことは貸金業に当たると公表し、4月9日に注意喚起のリーフレットを載せたと説明しました。経済的に貸付けと同じ働きをするファクタリングを業として行う場合は貸金業の登録が必要とする一方、ファクタリングのための新しい規定は現時点では考えていないと答えました。

    衆議院議員の質問主意書に対する答弁書(答弁第17号)。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  13. 事業者向けの裁判例2020年9月18日(金) 判決

    東京地裁、不払いのリスクが業者に移っているとして貸金業法の適用を否定

    売掛先が払わないリスクが業者側に移っていると評価し、取引は債権の売買で、貸金業法は適用されないと判断しました。

    金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」の裁判例の紹介で確認しました(判決文は未確認)。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  14. 偽装ファクタリング2020年6月22日(月) 資料公表

    警察庁資料: 中小企業に「ファクタリング」をうたって貸し付けたヤミ金融の検挙例

    「ファクタリングによる資金調達」などと書いた広告をFAXで中小企業に送り、実際にはファクタリングをせずに、約680社に法定利息の約14〜50倍で貸し付けて元利金約37億円を受け取っていた事件(千葉・岩手)が紹介されました。2019年11月までに11人が貸金業法違反(無登録営業)などで検挙されています。

    関係する人: 資金繰りのためにファクタリングを探す中小企業・個人事業主

    内閣官房の多重債務問題懇談会(第15回)で警察庁が示した資料。犯行期間は2017年1月ごろ〜2019年4月ごろ。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  15. 偽装ファクタリング2020年6月17日(水) 声明

    日弁連、事業者向けにファクタリングを装った違法な貸付けの取締り強化を求める声明

    買取代金がとても低い、または高い手数料を差し引いたうえで、業者が自分では債権を回収せず、売主に回収と支払をさせる取引は、経済的に貸付けと同じだと指摘しました。登録がなければ貸金業法違反、高金利なら出資法違反になり得るとして、金融庁・警察庁などに注意喚起と取締りの強化を求めました。

    通常のファクタリングそのものを違法とする声明ではありません。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  16. 給与ファクタリング2020年6月12日(金) 公表

    国民生活センター、給与ファクタリングと称するヤミ金融に注意を呼びかけ

    業者は「債権の買取りで貸付けではない」と言うものの、実態は貸金業で借金と同じだと指摘しました。年利に直すと700%を超えた例や、勤務先・家族への取立ての相談を紹介し、お金を払う前に消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談するよう呼びかけました。

    関係する人: 給料日前の資金に困っている人

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  17. 給与ファクタリング2020年5月22日(金) 声明

    日弁連、給与ファクタリングの徹底した取締りを求める声明

    給料は労働者本人に直接払わなければならないので業者は労働者から回収するしかなく、給与ファクタリングは貸金業法・出資法の貸付けに当たると指摘しました。年利に直すと数百%の手数料をとるヤミ金融だとして、金融庁・警察庁などに取締りの徹底を求めました。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  18. 偽装ファクタリング2020年4月28日(火) 公表

    金融庁、事業者に高額な手数料のファクタリングとファクタリングを装った貸付けへの注意を呼びかけ

    売掛債権などを売って資金を調達する事業者に向けて、高額な手数料・大幅な割引率のファクタリングは、かえって資金繰りを悪くし、多重債務につながるおそれがあると注意を呼びかけました。貸金業の登録をせずに、債権を担保にした違法な貸付けをする業者の事案も確認されているとしています。

    関係する人: 売掛金を売って資金を調達する事業者

    日付は、金融庁の新型コロナ関連情報の掲載日と事業者向けリーフレットの記載によります(注意喚起ページ自体には日付の記載がありません)。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  19. 給与ファクタリング2020年3月5日(木) 回答

    金融庁、給与ファクタリングを業として行うことは「貸金業」に当たるとの解釈を示す

    書面での照会に対する回答で、個人の賃金債権を買い取ってお金を渡し、その本人から回収する仕組みは、経済的に貸付けと同じ働きをするため、業として行えば貸金業に当たるとの考えを示しました。賃金は労働者に直接払うものとされているため、買い取った業者は勤務先に請求できず、常に労働者本人に請求することになる点を理由に挙げています。

    公表は2020年3月6日(政府答弁書による)。回答は照会時点の一般的な解釈で、捜査機関や裁判所の判断を拘束するものではないとされています。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

  20. 事業者向けの裁判例2017年3月3日(金) 判決

    大阪地裁、業者が不払いのリスクをほとんど負っていなかったとして、お金の貸し借りに準じると判断

    業者が売掛先の不払いのリスクをほとんど負っていなかった点などを考慮し、取引は金銭消費貸借契約(お金の貸し借り)に準じるものと判断しました。

    金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」の裁判例の紹介で確認しました(判決文は未確認)。

    当サイトの確認日: 2026-10-21

正規の事業者向けファクタリングとの見分け方

注意喚起と裁判例で問題にされている点を、確かめる順に並べました。

当サイトは、給与を対象にする取引や後払いの現金化を、ファクタリング会社の記録には載せていません(掲載基準)。

困ったときの相談窓口

貸金業の登録があるかは、金融庁の登録貸金業者情報検索サービス(外部サイト・新しいタブで開きます)で確かめられます。